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2014/04/13 良いこと無しの国家戦略特区構想、 韓米FTAで韓国も規制緩和の嵐で大ダメージ

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140413_シンポジウム~危ない国家戦略特区 雇用・医療・暮らしはどうなるのか

 政府は3月28日(金)、国家戦略特区諮問会議を開き、東京や大阪など6つの地域について、国家戦略特区として指定を決めた。4月13日(日)、この国家戦略特区構想の危険性を読み解く「危ない!国家戦略特区~雇用・医療・暮らしはどう変わるのか~」と題するシンポジウムが行われた。

  • 記事目次
  • 大阪市で水道事業民営化へ 運営権30年程度で契約か
  • 国家戦略特区の規制緩和はトレードオフ
  • 人口2万6000人都市が国家戦略特区に 最低賃金以下の雇用制度を利用か
  • 昨年秋、話題となった「解雇特区」とは
  • 世界中に溢れる特区 米国も支持
  • 関税が下がっても、価格が下がらない品目も

  • 基調報告 奈須りえ氏(前大田区議)
  • 各分野からの報告
    河添誠氏(首都圏青年ユニオン青年非正規労働センター)/色平哲郎氏(佐久総合病院医師)/宇都宮健児氏(弁護士、前日弁連会長)/郭洋春氏(立教大学教授)
  • パネルディスカッション コーディネーター 内田聖子氏(PARC事務局長)
  • 場所 東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区)
  • 主催 国家戦略特区を許さない市民会議(仮)

大阪市で水道事業民営化へ 運営権30年程度で契約か

 大阪市は今月4月9日(水)、水道事業の運営権を、市が全額を出資する新会社に、2300億円で売却する方針を発表した。市はこの水道事業の民営化について、4月14日(月)から5月30日(金)の期間で、パブリックコメントを募集するという。
※参照:大阪市HP 【URL】http://bit.ly/1jGEdH9

 前大田区議の奈須りえ氏は、大阪市で始まろうとしているこの水道事業民営化について、「水に関わる施設にどの程度資本・税金を投入することがふさわしいかということは、これまで公が決めていた。しかし民営化によって、民間事業者が必要な量まで決められるようになってしまうので」と指摘。「水道というライフラインを民間事業者に売ろうとしている。一回売ったら二度と戻れません」と警鐘を鳴らした。

国家戦略特区の規制緩和はトレードオフ

 奈須氏がある勉強会に参加した際、自民党のある国会議員が、この国家戦略特区の規制緩和を、『トレードオフ』という言葉を使って表現していたという。トレードオフとは、二つの事は両立しないということ、つまり、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない状態や関係のことを指す。すなわち、国家戦略特区において大企業の利潤が追求されれば、そのぶん、国民の生活は犠牲にされる、ということだ。

 奈須氏は、この自民党議員の発言に絡め、「(国家戦略特区による)規制緩和が行われれば、医療保険で守られているような安全性が無くなってしまう」と語った。

人口2万6000人都市が国家戦略特区に 最低賃金以下の雇用制度を利用か

 奈須氏が、国家戦略特区に指定された区域の中で注目したものに、人口2万6000人の兵庫県・養父市をあげる。企業は、最低賃金以下の高齢者雇用制度を利用し、後にそれを全国に波及させるのではないかと指摘した。

 全国のほとんどの自治体に、シルバー人材センターと呼ばれる職業紹介所が設置されている。高齢者が余暇を活用するためなどと位置づけられているが、そのため、契約形態はいずれも請負で、最低賃金法の適用外となる。契約期間も臨時で、週20時間以内とされている。

 奈須氏によると、養父市はこの「臨時20時間内」という規定を20時間以上に緩和しようとしているのではないかと指摘。このシルバー人材センターは、国から補助金が出て、人材を派遣するために必要な事務費用が補助されている。養父市は、20時間以上に緩和しても、国からの補助金がもらえる仕組みへの変更を要求しているとも奈須氏は指摘した。

昨年秋、話題となった「解雇特区」とは

 政府が、国家戦略特区で目指す規制緩和には、労働時間法制(ホワイトカラー・エグゼンプション)や解雇ルール緩和なども検討されていた。しかし、昨年秋、政府が発表した国家戦略特区の規制緩和概要では、「解雇特区では」との批判が相次いだため、これらの規制緩和は見送られることになった。

 首都圏青年ユニオン青年非正規労働センター事務局長の河添誠氏は、昨年9月、この「解雇特区」に関して実際に検討されていた事例を解説した。例えば、雇用契約を交わす際、「3回遅刻をしたらクビ」などという契約をした場合、「解雇特区」ではそれがそのまま適応されてしまう恐れがあるのだという。現在の労働法や過去の裁判の判例では、3回遅刻しただけで即時解雇などとなることはあり得ないと河添氏は話した。

世界中に溢れる特区 米国も支持

 立教大学の郭洋春教授は、2年前に発効された米韓FTA下の韓国と、TPP交渉に参加中の日本の状況を比較して解説した。郭教授によれば、世界には経済特区と呼ばれるものが、すでに「120カ国程度、5000箇所」も存在し、すでに飽和状態にあるという。

 「世界中にあるほとんどの特区は、先進国ではなく、途上国にあるのが特徴。途上国が経済発展の起爆剤として考えたもの」と解説。「元々は、空港や港に特別な地域を作って、物流や製造の拠点にして、そこの関税を無くすとか、法人税を無くすとか労働者の賃金を安くするといったもので、韓国の場合は、労働組合を作らせないというものをやった」と、各国における経済特区の現状を語った。そのうえで、「50年前から始まっていて、新参者の日本がやったところでうまくいかない」と、日本の国家戦略特区構想を酷評した。

 郭教授は、国家戦略特区とTPPは関連している、と指摘する。その根拠に、米国の通商交渉を担当するUSTRのカトラー次席代表代行は、昨年2013年11月7日(木)に放送されたTBSの取材に対して、「TPP交渉の非関税分野の議論は、ほとんど全て安倍首相の3本目の矢の構造改革プログラムに入っている」「TPP交渉のうち1つの焦点となっている非関税分野でアメリカが目指すゴールと方向性が完全に一致している」と明かしている。

 郭教授は、「(このような点から)米国も国家戦略特区を支持している。TPPをする際に、非常に特殊な地域で、さらに多くの利益を得ることができる」と、国家戦略特区プラスアルファでのTPPの効果を指摘した。

 韓国政府は、昨年2013年12月13日、「第4次投資活性化対策」を発表した。主な政策として、『大学病院にのみ許可していた医療機関の付帯事業子会社設立を848の医療法人に認可』、『新薬や新医療機器の許可、承認手続きを大幅に省略』などがある。郭教授は、新薬・医療機器の承認手続きの緩和の狙いについて、「安全性と効果が確認されていないものを使う口実に、『患者のため』と言うが、実際には、製薬メーカーや医療機器メーカーが、早く使いたい。早く売りたい。そのために規制緩和しているに過ぎない」と指摘した。(IWJ・石川優)

関税が下がっても、価格が下がらない品目も

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