いよいよ7月10日(日)に投開票が迫った参議院選挙。既存大手メディアは、自民、公明、おおさか維新、日本のこころの「改憲勢力」で「3分の2議席獲得の勢い」と、与党優勢を伝えている。今回の選挙では、32あるすべての1人区で野党共闘が成立したが、既存大手メディアの情勢分析によれば、これら野党統一候補は20以上の選挙区で劣勢が伝えられている。
そのようななか、接戦、あるいは野党側の有利が伝えられているのが、山形選挙区だ。定数1を実質的に争うのは、自民党の月野薫候補と、野党統一候補として立った元職の舟山康江候補である。
舟山氏は2007年の参院選で旧民主党から出馬し、初当選。鳩山由紀夫内閣では農林水産大臣政務官を務めた。一貫してTPPに反対し、「TPPを慎重に考える会」などで積極的に活動。2012年7月に旧民主党を離党し、谷岡郁子氏、行田邦子氏、亀井亜紀子氏とともに「みどりの風」を結成した。2013年7月の参院選で再選を目指したが、自民党新人の大沼瑞穂氏に2万票余りの差で敗れ落選している。
農業が主要産業である山形は、TPPを懸念する声が根強い。2013年の参院選では、自民党の支持母体であるはずの農政連が自民党候補への推薦を拒否し、自主投票とした。こうした事情もあり、自民党は安倍総理や「自民党の広告塔」である小泉進次郎農林部会長を精力的に山形入りさせている。
注目の山形選挙区の情勢について、公示日をはじめ選挙期間中に現地入りして取材を行ったジャーナリストの横田一(はじめ)氏に、ルポを寄稿してもらった。(IWJ編集部)