
2013年7月1日(月)14時より、東京都杉並区の山本太郎選挙事務所で「『本当のこと言って何か不都合でも?』―山本太郎が学んじゃうよ―Vol.06」が行われた。連続企画の6回目は、参議院選挙に立候補する山本太郎氏が、ゲストの岩上安身と語り合うというもの。話題は、TPP、憲法改憲、歴史認識問題、日本の対米追随など多岐にわたった。
■出演 山本太郎氏、岩上安身
「はじめて○○した話」という題目から、両者のトークが始まった。岩上安身は「はじめて立候補しようと思ったのは? 2回目に立候補しようと思ったのは、なぜ」と、山本太郎氏に質問した。山本氏は「2011年から、『戦わなければいけない』気持ちと『自分と家族を守る』という気持ちの間で、ずっと揺れ動いていた。昨年の衆院選に出馬した時、路上で、人々に直接、自分の思いを伝える手段があることに感動した。今回も、なるべく多くのことを伝えたい」と答えた。
「前回の選挙は原発に争点を絞れたが、今回は何を訴えたいのか」と尋ねる岩上に、山本氏は「特に、被曝の問題を訴えたい。現実を見ると、政府は原発の再稼働、海外輸出と突き進み、原発即時撤廃などの反対意見は、呪文にしか聞こえなくなってきている。だから、被曝に争点を当て、現実的なことから切り崩したい」と応じた。
岩上は「今回の参院選で自民党が勝った場合、原発は再稼働と輸出へ、TPPには参加、憲法は改正される。さらに、秘密保全法、マイナンバー法などが待っている」と、懸念を表明した。また、「IWJは、自民党からすごく嫌われている。会見には入れてもらえないし、取材は断られる。しかし、自民党はネット選挙には積極的だ。ニコニコ動画などの書き込みを見ると、ユーザーには右寄りの若者が多い。つまり、ネット環境は、自民党にとって居心地がよいのではないか」と分析した。
続けて、岩上は「自民党の改憲案のような新憲法が施行されたら、立憲主義の否定になり、日本は国際社会から完全に脱落する。ドイツがナチの国家に戻ったことと同じだからである」と語気を強めた。「昨年8月15日に出た、アーミテージ・レポートに書いてある通りの道筋を、日本は進んでいる。しかし、同レポートの中で『韓国や中国に対する、歴史認識問題だけには触れるな』と釘を刺されていたにもかかわらず、暴走した。だから、安倍総理は訪米時、オバマ大統領に相手にされなかった。日本は、アメリカの庇護があるから、中国、韓国に大きな顔ができるのだ。しかし、それを忘れて、過去の大日本帝国のようなパワーがあると錯覚している」と、日米関係の実態を話した。
また、山本氏が「日本をぶっ壊すと言っていた人が、ぶっ壊して取り戻すと言っていた人が、日本を売り飛ばす。この点を、どのように国民にアピールしていったらいいのか」と問うと、岩上は「フェアに、オープンに、情報公開できる状態にするしかない。ところが、原発事故以降、情報公開のあり方はますます悪くなっている」と述べた。
その後、話題は秘密保全法に移り、岩上は、アメリカのCIAやNSAで情報収集活動に関わっていたエドワード・スノーデン氏の例を挙げて説明した。「普段、皆が使っているような端末から情報が抜かれている。今回は970億件の情報を取った中に、アメリカ市民の個人情報が入っていた。だから問題になっている。アメリカの法律では、外国人の情報を盗聴することは合法なので、首脳たちは開き直っている」。
岩上は続けて、「秘密保全法では、日本政府の中に、完全秘密のアメリカ政府が作られる。最初の犠牲者は、PC遠隔操作事件の片山被告だと思う。なぜなら、彼は、日本の捜査機関がFBIから得た情報をもとに、ハイジャック防止法で立件されているのだ。NSA、秘密保全法、マイナンバー制で、すべての個人情報は把握される。そして、相変わらずマスコミは、それをまったく報道しない」と語った。
質疑応答の中で、岩上が「今、世界は重要な転換点に立っている。世界とは、国連のもとに各国家と国民が集まったものだったが、今では国連の上に国際企業が位置し、世界を統治しようとしている。企業のトップは、選挙では選べない。租税回避は、日米GDPを合わせたくらい大きいと言われている。だから、ヨーロッパをはじめ、いろいろな国がグラグラになっている」と述べた。
そして、年金や郵貯について、「選挙後、『公的基金は効率がよくない。民間保険に移せ』というプロパガンダが始まるだろう。がん保険のアフラックは、日本市場を独占している。昨年、問題の多いアフラックに金融庁の調査が入ったが、半年で中途半端に終了した。当時の金融担当大臣、松下忠洋氏は、なぜか自殺した(2012年9月10日)。また、売り上げのほとんどを日本で稼ぐアフラックは、日本に税金を払っていないのだ」と話し、日本人の個人資産が外資に流れることに警鐘を鳴らした。
最後に、「前回の衆院選は、不正選挙だったのか」という質問に、岩上は「推測では何も言えないが、不正選挙だと騒ぐのはよくない。なぜなら、人々が『どうせ不正選挙だから、選挙に行かない』と考えてしまうからだ」と答えた。さらに「先の展望を立てることは、結果を決めてしまうことにつながるから、自分は展望は持たない。だから、未来を決めつけず、今を生きる」と持論を述べて、対談を終えた。【IWJテキストスタッフ・関根/奥松】
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